授業テーマ | 授業内容 |
P:目的 | 授業を行う目的 |
O:到達目標 | 授業を終了したときに到達する能力 |
C:指導項目 | 授業の中で指導する事項 |
対象者 | この授業を受ける学習者の前提条件 |
「授業テーマ」は、授業内容を表現する題名です。
授業計画を始める段階では、授業テーマなど決まっていると思われるかもしれませんが、意外とつまづくところでもあります。
とくに既存の教育訓練を引き継ぐ場合や、教科書が指定されているときには注意が必要です。
授業テーマには、学習者に習得してもらう知識や技能、態度などの学習「内容」の全体像を表現するように記述します。
他方で、学習「方法」を記述するものではありません。
例えば次の記述は、やや範囲が広すぎる記述ではありますが授業テーマとして概ね適切です。
(1)オームの法則
(2)水辺の生物
他方、次の記述は、授業テーマの記述としては不適切です。
(3)テスターによるオームの法則の確認
(4)水辺の生物の観察
この違いを見てみましょう。
(1)(2)は、学習する内容がオームの法則、水辺の生物に関する何かを学習することが想像されます。
他方、(3)は、オームの法則に関するなんらかの計測をテスターで行うのだろうなという授業の進め方は想像できるのですが、そこで学習する内容がオームの法則なのか、テスターの使い方、計測方法なのかがわかりません。
(4)も同様で、授業で水辺の生物を観察する活動をするのだろうな、と想像できます。しかし、その活動で水辺の生物、観察方法のいずれをを学習するのかはわかりません。
(3)で、計測方法が学習内容なら、「テスターの使い方」や「テスターによる計測方法」などとすればいいのです。(4)も同様です。観察方法が学習内容であれば、「水辺の生物の観察方法」や「生物の観察方法」などとすれば良いのです。
(3)(4)の問題は、授業の中でテスターによる計測を行う場面や生物を観察する場面を「学習内容」として扱うのか、オームの法則や水辺の生物を学習するための「学習方法」として扱うのかが曖昧だということです。
逆にいうと、オームの法則や水辺の生物を「学習内容」とするのか、テスターによる計測や生物の観察方法を「学習内容」とするための「練習の題材」として扱うのかが曖昧だということです。
オームの法則や水辺の生物が学習内容なら、授業の中で必ずしもテスターによる計測や観察という活動をしなくても良いことになります。
逆にテスターによる計測や生物の観察が学習内容であれば、必ずしもオームの法則や水辺の生物を計測や生物の観察の練習題材としなくても良いことになります。
もちろん、例えば、テスターの使い方とオームの法則の二つが学習内容になってもかまわないのですが、だとすれば、「オームの法則とテスターの使い方」と表現する方が良いでしょう。
ただしこの場合、なぜ、オームの法則とテスターの使い方を一緒に学習しなければならないのか、というようなことも検討しなければなりません。例えばテスターの使い方を何らかの電気の性質と同じ授業で学習するのであれば、「直流電気の電流、電圧、抵抗 "と" その測定のためのテスターの使い方」、というように、テスターで測定する電気要素そのものと一緒に学習すると良いのではないでしょうか。
この場合、次の授業でオームの法則を学習するときは、すでにテスターは使えるので、テスターを使ってオームの法則が成立することを確認するという学習場面を設定できます。その場合の授業テーマは、「オームの法則」だけになります。
授業テーマで学習内容と学習方法(練習題材)を曖昧にする弊害は、学習者を惑わせるだけでなく、授業計画を行う指導者も惑わせます。
学習内容が何か、明確な意志を持っていれば良いのですが、計画しているうちに何が学習内容なのかわからなくなってくるのです。
次は、授業の内容を曖昧にする授業テーマの事例を紹介します。